2006年06月14日

ワイルド・ソウル

最近、文庫化され、一応ブラジル関連ということで、垣根涼介『ワイルド・ソウル』に挑戦。
棄民政策と語られる歴史の闇に葬られたブラジル移民がテーマです。1961年にブラジルに移民した主人公が現在に至るまでの物語です。多少ステロタイプな浅い人物描写があるものの娯楽作品としても一気読みさせるパワーは十分にあります。前半の移民の文字通り血のにじむような生活の描写に心打たれます。後半、現代日本社会に復讐を近い立ち上がる移民の僚友たちと警察との頭脳戦が物語を加速させます。

TIPOGRAFIAで人気の“ワタナベさんコーヒー”の農園主であるエウリコ・ワタナベ氏はブラジル移民の三代目(孫)にあたります。彼の栽培した素晴らしいコーヒーを我々は現代日本で気軽に楽しむことが出来ます。でも彼の家族(父母、祖父母たち)がどんな思いでここまで生きてきたのかは知る由もありません。農園主として、社会的な成功者としてコーヒー栽培に携わるまでのもうひとつの物語あるはずです。光あるところに影は必ず存在します。たかが一杯のコーヒーですが同じ日本人として、カップを傾けるこの瞬間にもブラジルと日本を結ぶ歴史は静かにかもしだされているはずです。
posted by 焙煎師TIPO at 10:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 活字中毒
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