
ありゃま、ご都合主義的な脚本で細部は気にせずノリ一発で撮ちゃったね。
愛国心と正義感に燃える熱い主人公が自分の目的(国家的陰謀および愛犬を殺された復讐)の為に一切の悔悛も無く、片っ端から殺しまくる映画です。
オリジナルのスワッガー(主人公の親子ニ代に渡る狙撃手の名前)シリーズは血沸き肉踊る傑作です。でも原作はこんなにも無茶苦茶だっただろうか?不要な記憶を次々と消し去っていく合理主義(ご都合主義ともいう)の店主には記憶がありません。
主人公は警察官から特殊部隊から軍人、政府高官までいったい何人殺したのでしょうか?その数はアフリカの資源確保のための破壊工作で殺した村人以上では?確かに出てくる政府関係者は極悪人ばかり。でも正義という名の暴力ほど性質の悪いものはありません。
プロットは適当でも、銃器描写はリアル。ガンマニアは堪らない執拗な描写です。男はいくつになっても幼児の拳銃ごっこが大好きでエロシーンと同様、いくつになってもじゅるじゅると涎が出ます。多分、粒子の荒めの画質や主人公を助ける戦友の未亡人が映画『CANDY』のヒロインぽい、楊枝をくわえたいかれたガンマンのような側近など、70年代アメリカ映画の質感を意識している感じ。まさしく気分はテレビの洋画劇場ですね。最後まで観せてもらえなかった幼いあの頃の感触です。
確かに無茶苦茶茶だけど、同時にいかにもアメリカ的な映画です。アメリカも同様に自国の抱く勝手な正義の名の下に破壊と殺戮を徹底する国です。ま、娯楽作品だから、いいか?