2007年04月19日

象牙のコーヒー

「おすすめの酸っぱくないコーヒーちょうだい」

しばしばお客様から受けるご注文ですが、実は非常に回答が難しいのですね。では、その方の求めていない「酸味」とはいったいどどのような味わいなのでしょうか?いつも考え込んでしまいます。

コーヒーの本来の味わいには酸味は不可欠なものです。必ず良質なコーヒーは良質な酸味を有しています。香味評価においても、酸味の有無ではなく、酸味の質がポイントです。酸味を一切排するには焙煎時にフレンチやイタリアンの様に極端に深く煎れば良いことです。自分自身もかつてはそうでした。深煎りであればすべて良し、という時期がありました。色の明度で豆を買っていました。しかしある日突然、あたかも天からの啓示のように酸味に撃たれました。さわやかな酸味の豊かさ、酸味と苦味の微妙なハーモニー、新しい発見にそれまでのコーヒー観が変わりました。ああ、おいしいコーヒーって酸っぱいんだ!てな感じ。TIPOGRAFIAのコーヒーは基本的には良質できれいな酸味を味わっていただけるよう日々努めております。果たして、私の目指す酸味とお客様の避ける酸味は果たして同じ?それとも異なるものなのでしょうか?

ヘミングウエイいわく「持つ者」「持たざる者」がいるように、世界には「良い人」と「悪い人」と同様に「良い酸味」と「悪い酸味」が存在します。これは紛れもない真実。良い酸味とはすっきりと抜ける、もぎたての果実の様な明るい味わい。逆に悪い酸味は多分古くなって酸化した味わい。対極の二つの味わいは不幸にも同じ「酸味」と表現されてしまいます。誰しも腐った檸檬は食べたくないけど、酸っぱくない(味のない)檸檬も同様でしょう。さわやかに拡がる酸味こそが檸檬の全てです。実はコーヒーも同様。実は酸味を嫌う人の多くは酸化した古いコーヒーのトラウマが原因なのかも知れません。

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今回、ケニアから届いた象牙(アイボリー)という名を持つ農園のコーヒーもそうです。まさにお見事な!酸味です。勝手な持論ですが、深めに煎っても十分酸味が残るコーヒーは良質な証です。明るく柑橘系のさわやかさが感じされます。でも豊かなコクも拡がり、絶妙なカップの残り香も楽しめます。既存のケニアマチャコスにも劣らない、いやそれ以上の味わいです。

一応の豆データーです。
ケニアの首都ナイロビ近郊のキリニャガ地区のアイボリー農園限定のコーヒーです。農園名は農園主のMiguongoini氏の名前がKikuyu族の言葉で「象牙」を意味することに由来しています。標高1520メートルの高地、養分が豊富な火山灰土で栽培、品種は在来種(SL28 SL32)。手摘で収穫された実を丁寧に水洗いし、天日によってゆっくりと乾燥されます。このへんはまあ、どうでもいいうんちくですね。

TIPOGRAFIAの目指す酸味が楽しめる顔ぶれが一つ加わりました。さあ、どうぞお試しやす!本日より喫茶、豆売り(200g940円)で提供開始いたします。
posted by 焙煎師TIPO at 11:29| コーヒー