2007年04月03日

フランシスコの2人の息子

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ブラジルでは興行成績の新記録を樹立する大ヒットを記録したという『フランシスコと2人の息子』です。ブラジル絡みということでしっかり勉強してきました。

貧乏な農業・酪農家で子沢山なフランシスコの息子たちがミュージシャンとして成功していくという実話、ゼゼ・ヂ・カマルゴ&ルシアーノの物語です。これがベタベタ。いつもラジオから流れる音楽を聴きながら、息子の成功を夢見る父、そして食うや食わずの一家がなけなしの金で買ったアコーディオンとギターを託された息子たち。「お母さん、お腹すいたよー」という苦労話です。実話なんだけど、ベタでどうしようもないステレオタイプなサクセスストーリーです。う〜ん、困った映画だ。

彼らの音楽のジャンルはセルタネージョ(SERTANEJO)というそうです。ブラジル内陸部の牧畜業の人から発生したムジカ・カピネーラをルーツとしたアメリカで言うカントリーミュージックです。恋愛や日々の生活を切々と唄う歌詞といい、ベタなメロディといいいまさしく「演歌」です。ただ、遠い異国の地に住む日本人の心に何かしら染み入るかといえば???

つくづく音楽のルーツは「階級」です。基本的に、音楽は広義でTRIBE(族)と呼ばれるものから自然発生していくものです。古くは部族に古より伝えられた祭りのリズムであり、国家が誕生し、階級社会が発生した後はその階級に属する人々のアンセムとして誕生しました。アフリカから奴隷として北米へ連れてこられた黒人の日々からしかBLUESが誕生しえないように、特定の階級に属した音があります。黒人霊歌からソウルやジャズが、NYのハーレムからラップが、ロンドンの労働者階級からパンクが、リオの中上流階級の若者からBOSSA NOVAが誕生したように必然的な背景があります。ただ、後々その音楽が広域化、産業化していく過程で本来のルーツを無視して汎用化されていきます。そして日本人のラップやスウェーデン人のBOSSA NOVAなどなど、世界的な規模で多くのフェイクを生み出します。

セルタネージョはブラジル国内で最も人気のあるジャンルであり、CDセールスでも多くのシェアを占めています。これを自分たちの唄と感じるにはブラジル内陸部の「風景」が必要なのかも知れません。でも、そこに属していない自分には遠く曖昧な音です。そして映画もまた曖昧な風景を漂います。
posted by 焙煎師TIPO at 13:24| Comment(0) | TrackBack(2) | BRASIL
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