2006年01月16日

タイトルの力

前項の「土曜の夜と日曜日の朝」はまさにタイトル勝ちといった感じです。小説や映画のタイトルの力は侮れません。時として内容を超えて、タイトルがコピーとなって一人歩きします。言葉の持つ響きがイメージを喚起させます。

例えばSF作家ハーラン・エスリンの「世界の中心で愛を叫んだけもの」。これは原題直訳です。実際、読んでも難解すぎて頭に染み入ってこない短編ですが、完全にタイトルが一人歩き(近似タイトルの小説・映画といいい制御不能な暴走状態ともいいますが)してますね。エリス・レジーナに「愛することの不安は自由になることの不安」という曲があります。これも対訳を読んでもいまいちピンと来ないのですが、レイモンド・カーヴァーならこのタイトルで人生の一場面の自然に切り取った短編が書けそうです。昔の映画のタイトルにも独自の情感(そして節操)がありました。現在は原題ままとかインチキ英語タイトルが氾濫してますよ。ゴダールの映画なんて内容よりもそのタイトルで思わず殴打されます。「彼女について私が知っている二、三の事柄」「はなればなれに」「勝手にしやがれ」などなど、いつも流用(サンプリング)され続けてきました。

言葉の力を心から敬愛(言葉フェチともいいますが)するからこそ、TIPOGRAFIAの商品名にはこだわります。コーヒーを買っていただいた方がいつかその味を忘れても、言葉によって伝え続けられ、記憶の奥深くに刻まれ、ストーリーが残る。そんな商品でありたいのです。
posted by 焙煎師TIPO at 11:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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