好きな食べ物が幼児並みの40歳の店主はこういうベタなものが大好きです。コロッケサンドは、村上春樹のエッセイ(実物は実家で眠っているので未確認ですが『村上ラヂオ』らしい。ネタはココから)以来、形而上ではサンドイッチメニューの王様に君臨していました。商店街の肉屋さんで買った揚げたてのコロッケをパン屋で買った焼き立ての食パンにはさむだけという究極にシンプルなサンドイッチです。コロッケと食パンの接近戦一本勝負でありながらも、同時に一方が他方を補完するという実は繋がっている大人な関係です。音に例えるとそう……。

BILL EVANSとJIM HALLの究極のデュオアルバム『UNDERCURRENT』。ギターとピアノが密な男女の様に向かい合い会話しながら、決して自己主張で相手を殺すことなく、隙間を埋めあい音の塊を作り上げていきます。時として自己を抑える(弾かない)ことで自己主張します。コロッケと食パンも究極のサンドイッチのために主張と同時に抑圧を進め、ギミックをかけないシンプルな一体感を目指します。あああああ、そんなコロッケサンドが食べたいのさ!
実はTIPOGRAFIAのお隣さんは肉屋さんです。実はこちらのコロッケは結構いけます。そして豊中周辺はパン屋激戦区で各店のおいしい食パンがしのぎを削っている町です。渡りに船とはまさにこのこと。TIPOGRAFIAでは豊中産のおいしいコーヒーと究極のサンドイッチを密かに楽しめる!注文を受けてから、食パンを軽くトーストし、その日に揚げたコロッケをサックとそのままはさんで提供、がっつりしたボリュームは男性の方でも大満足!大口開けてがっぽりかじると、コロッケの油分がパン生地になじみ、じゃが芋の甘味がじゅわっと拡がります。♪パンとコロッケのハーモニー……ははは、妄想は拡がるばかりです。そんなこんなで先日から製造担当の連れ合いが試作品をライブで提供していました。更なる改良を重ね、近日中には成果をメニューにアップできるよう、TIPOGRAFIAの階上(家)では日々コロッケづくしです。じゅる(涎の音)。皆様も期待してお待ち下さい!