2007年05月09日

愚直さ

その分野で特筆する成功を収めた会社経営者を迎えたインタビュー番組を観ていて、繰り返えされたのが「愚直な」という言葉でした。

辞書によると

 正直なばかりで臨機応変の行動をとれないこと。または、そのさま。

とのことで「ばか正直」といわれるように、決して良い言葉ではありません。しかし二人の経営者は「愚直であるべきだ」と繰り返します。それは戦略や自分自身に対して、頑なまでに貫こうとする姿勢でしょうか?成功には愚直さは必要なものなのでしようか?

※番組を録画して観ていた訳ではありませんので、前後の文脈は受け取り側(私)の主観的な解釈が含まれています。

何かを作り上げるには必ず時間が必要です。昨今のビジネスにおいては「ドッグイヤー」という言葉のとおり、時間の重みが軽視されがちですが、しかるべき時間を要してこそ完成される事象があるはずです。

例えば、コーヒーの焙煎。
作業はある程度、手を抜くことは可能です。注文後、スイッチひとつ、5分程度で自動に煎り上げる焙煎機も普及しています。反対に、生豆を事前に吟味し、予熱した釜に投入、火加減と換気を調整しながら、何倍もの時間を掛けてば焙煎する方法もあります。前者はあアルバイトの素人でも可能であり、後者は何年何十年もの熟練が必要となります。どちらに価値を抱くかは人それぞれの勝手ですが、見た目が同じコーヒー豆でも、明らかに異なることは確かです。

仕事において、この愚直さが求められているのかも知れません。それは、

  決して手を抜かない(ひと手間かける)

  時間をかける(適切かつ十分な時間を費やす) 
  
  すべてに正直である(決して嘘や偽りを言わない)


 
ということです。そして変化に応じて、適切な工夫を積み重ねて、理想とする完成形へと近づけます。これは焙煎でも、抽出でも、経営でも同じ。そう、表層的な効率や体裁よりも、人は愚直なまでに誠実であるべきです。愚か者と罵られようとも人が生きるために必要な愚かさもあるはずです。

ふとした時に、改めて出逢った日本語(「愚直」というひとつの単語)の持つ不可思議で奥深く多層な意味あいには今更ながら唸るばかりです。 

posted by 焙煎師TIPO at 13:41| 日記