2007年01月16日

記憶

客商売に関わらず、人の顔や名前を記憶するのが苦手。
これはプロとしてかなり恥ずかしいことです。

接客業では一度宿泊したお客様のデーターを全て記憶する老舗旅館の女将、好みのカクテルを記憶するバーテンダーなどなど伝説は数々あれども、なかなか顔を覚えないコーヒー屋のマスターなんて全然洒落になりませんね。

昔からそうでした。あまりにも名前を覚えないので、その場に集まったグループ全員の名前を順番に当てることを罰ゲーム付きで強制された記憶があります(これっていじめ?)。
営業で外回りしていた時は、顧客ファイルに先方担当者の似顔絵を走り書き!それでないと次回訪問時、どの人が担当者か判明できませんでした。情けない……。

きっと記憶蓄積時、視覚情報の的確な記号化が弱いのでしょうね。

でも時折、その人の記憶が蘇ることがあります。それは顔自体を明確に記憶しているのではなく、周辺情報によって喚起されます。それはコーヒーの好みや座席であったり、服装や髪型、眼鏡などのファッションであったりします。そして香り、その人付けているコロンや体の匂いなどは不思議なくらい記憶を呼び覚まします。そういえばコーヒーの味わいの記憶もまた香りとリンクしていることが多い。モカイルガチェフの抽出時に拡がる花のような香り、ワタナベさんのコーヒーのカップに残った液体が放つ甘い香り、焙煎時の変化に伴う香ばしい煎りあがりの香り……。記憶に残された香りは鮮明です。来店時、店主がくんくんと鼻を鳴らしていても、決して変態ではありません(嘘)。

近日公開の映画『パフューム』は究極の香水の物語です。香りは記憶であり物語。人の記憶を巡る不思議な旅は続きます。
posted by 焙煎師TIPO at 13:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記