2007年01月31日

R.I.P.

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開店以来、皆様のコーヒーのために酷使された名門フィルター2人用です。名誉の負傷である茶ばみやクラック(ひび)を経て、ついに縦に亀裂が入ってしまいました。でも使い込まれた道具は美しいものです。白い灰になるまで燃え尽きた感じです。ようやった、ようやったと御礼の言葉を捧げたくなります。あとは現役を退き、後輩に役目を譲り、静かに眠るのみ。裏庭の蝋梅の樹の下に埋めることにしましょう。OH!REST IN PEACE!そう、墓碑銘は「生涯を珈琲のために尽くした円錐形 ここに眠る」。そして楳図かずおの漫画の様に庭に埋めた円錐が夜な夜な起きだし、誰もいないカウンターでぽたぽたとコーヒーを点てるのです。

ちなみに幼少期のトラウマになるような非常にコワイ漫画のタイトルは『おみっちゃんが今夜もやってくる』らしい。庭に埋葬されたおみっちゃんが蝋燭を手に夜な夜な這い出してきます。

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そし現在のBGMは全く関係のないTHE ROLLING STONES『EXILE ON MAIN ST.』です。いったいどう繋がっているのか?そしてこの雑文が冗談なのか、本気の告白なのか?謎だ。おみっちゃんに聞いてみよう!


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2007年01月30日

街のコーヒー屋

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先週末仕事を終え、義父との食事へ豊中駅に向かい坂を下っていきました。駅までのわずかの間にお客様に3名とすれ違い、軽く会釈と挨拶。お名前もお住まいも知らないけど、時々お店へ顔を出していただいている方々です。本当にコーヒー屋という商売が周辺で生活しているお客様で成り立っているのが分かります。商圏は概ね1キロ程度と言われており、周囲の方々が顧客の中心です。でもこれが街のコーヒー屋のあるべき姿です。豆がなくなれば、普段着のままでぷらっと買いに出かけ、外出の帰りにお茶でもして一服して行こうとお店に入り、知人が来たけどコーヒーやお茶菓子の買い置きもないので皆でお店へ……etc。TIPOGRAFIAがそんな場所でありたいのです。決して気張ることなく、ゆるゆると自分の居間のように寛いで欲しいのです。お隣さん全てはお客様だと思っています。でも悪いこと出来ませんね。どこで誰に会うか分かりません。格好悪くて豊中周辺では、家内と喧嘩もできません。

カメラ画像は裏庭の咲き始めた蝋梅です。気持ちだけでも春が近づいてきました。



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2007年01月29日

BISTROT D'ANJOU

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心斎橋「ビストロ・ダ・アンジュ」です。かなり久しぶり。以前によく通っていました。20代後半の頃ですから、10年以上時間が流れているのですね。あああ、あの頃は若かった!フレンチな内装とお手軽価格のコースで月曜日のランチタイムだというのに女性客中心にワイワイにぎわっています。自分が店を始めて感じたことですが、この変化の激しい現代で変わることなく人気の店であり続けるということは凄いことです。久しぶりに店に行っても変わらない空間と味わいがありました。同様に、TIPOGRAFIAが10年後も豊中でコーヒーを提供する店でありたいものです。
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2007年01月28日

LIKE A ROLLING BEAN

ショーケースや台下冷蔵庫の隙間を掃除していると、しばしば失われ豆が発見されます。思わず、

「お久しぶりだね。キミはいったいいつからこの下で眠っていたのだね。」

と声を掛けたくなります。
円形または楕円の球面をしているコーヒー豆は当然転がります。ころころと彷徨い、暗闇に潜んだ黒い姿は迷彩のように溶け込み姿を隠します。そして豆たちは誰かに発見されるまで闇で悠久の時を過ごします。以前勤めていた会社でもそうでした。大掃除の時、スチール棚の隙間から年代モノが発見されました。

「先輩、見つけました!いい感じで干からびています」
「おお、今年はなかなか当たり年だね。これは20年モノのサントスだよ」
「すごい!先輩が入社した頃のですね。」
「そう、実は俺が煎ったもの知れんな。ほほほ、まさにお宝だよ(笑)」


何て会話が箒を片手になされたものです(嘘)
遥か彼方、世界の果ての樹で生を受け、長い長い旅を経てココで眠っていた豆に偶然再会するのは不思議な気分です。煎られて挽かれてお湯に浸され液体へと姿を変え、誰かを幸せにするのも、闇に潜んで再見を待つのも人生(豆生?)、運命は転がる豆のように彷徨い、翻弄します。C'EST LA VIE!
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2007年01月27日

HAPPINESS

お店を続けていくと、時々へこみそうになります。五里霧中で歩んでいると自分が正しいのかどうかすら怪しくなります。

そんな時勇気付けられるのは他ならぬお客様の言葉です。

「最近だいぶ忙しなってきたやん」

時々散歩の途中にきていただけるおじいちゃんの言葉です。いつも暇そうにしている店主を見てご近所として心配していたのでしょうか?ああ、大丈夫です。しっかり頑張ってますよ!

「コーヒーはストレートに限ると思ってました。でもココのブレンドを飲んで最近はブレンドに目覚めました」

あれやこれやと迷いながらも試行錯誤をしている店主にとってこれほどありがたい励ましの言葉はありません。ああ、ブレンドしてよかった!

「さっき飲んだコーヒーの豆を下さい」

実際にお店で飲んだコーヒーを帰り際に購入されると言うことは、少なくとも気に入っていただけのでしょう。不味かったり好みに合わない豆をわざわざ買わないですよね。店主としてはやった!と言う感じです。

そんな小さな言葉は大きな力で店主を支えてくれます。ああ、お店をやっていてよかった!と心底幸せな気分になります。そして再びもっとお客様に喜んでいただけるよう切磋琢磨します。

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2007年01月26日

フリーパーパー『KONOS』

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TIPOGRAFIAのようにコーノ式珈琲塾で河野雅信氏(珈琲サイフォン株式会社)のコーヒーに惚れ込み、実際に開店しちゃった人が全国に点在しています。もちろん経営はまったく別で、それぞれのカラーで営業はしているのですが、共通しているのは河野氏とそのコーヒーが大好きだということ。そう、みんな「コーノ式」に魂を売った兵(つわもの)どもです。場所や商売の方法は異なれども、コーヒーに対する思いは同じ、きっとお互いのために何か出来ることもあるはず!こうして同窓生が寄り合った共同体が“KONOS”です。そして情報交換、共同での仕入れや販促展開などを進めてきました。

今回お届けするのは、共同編集のフリーペーパーです。
タイトルはそのまんま
 
 『KONOS あるいは一杯の珈琲に秘められた思いを探す小冊子』

です。発刊の関係で少し遅くはなりましたが「2007年 新年最初の一杯のコーヒーに捧ぐ」となっています。
賛同各店のコメント、河野雅信氏による円錐フィルターの開発秘話そして特別寄稿として鎌倉cafe vivement dimanche 堀内隆志氏の思い出話などなど、薄いけど熱い小冊子となっています。本日から店舗で配布中。完全限定発行ですのでご希望の方はお急ぎ下さいね。
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2007年01月25日

スキャナー・ダークリー

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実写なのかアニメなのかクラクラする質感を持つ映像で潜入捜査官が自分自身を監視するというパラノイアックなP.K.ディックの原作を直球映像化。権力側として監視する自分と監視されるドラッグでヘロヘロの潜入している自分が徐々に混乱して、現実崩壊していきます。舞台となる数年後の未来世界は決して車が空を舞ったり、独裁者が支配している世界でもなく、現在とさほど変わりない街です。そこにいかにもありそうな物質D(新型ドラッグ)とありそうもないスクランブルスーツ(姿をカモフラージュする全身覆面)を対比的なガジェットとして定義し、物語を作ります(これはディックの常套手段)。混乱の末のオチ、ラストに流れる献辞も含めて、ほぼストレートに原作を映画化している故に、ディックの悲しいまでの脅迫概念を理解し共感するか、なんじゃそれは!と無視するかが評価の分かれるところでしょうね。決して嫌いではないけど、決して隣人には薦めないかな?

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2007年01月24日

ネオアコ

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東芝EMI編『ネオ・アコースティック・ドリーム』、ユニバーサル編『ネオ・アコースティック・ラヴ“ヘッドスタート・フォー・ハピネス”』、ワーナー編『ネオ・アコースティック・パレード』と怒涛の3タイトル同時発売のコンピです。「ネオアコ」という音に青臭く甘酸っぱいけど同時に恥ずかしい過去が蘇がえる人、それは80年代に青春を過ごし、同じ空気を吸ってきた店主と同世代(40歳前後)のおっさんまたはおばさんです。

久しぶりに聴いた音はやはり青臭ぇ!感がいっぱいです。アズテック・カメラ、ザ・スミス、スタイル・カウンシル、ペイル・ファウンテンズ、エブリシング・バット・ザ・ガール、フェアーグラウンド・アトラクション、モノクローム・セット……確かに懐かしい。店主は常々「全ての過去は恥ずかしいものである。人は前へ進んでいる限り、恥ずかしくない過去は存在しない」と言う持論を唱える人です。こうした過去(の音)を振り返りノスタルジックに思い出と共ににやけるべきか、ひたすら過去を捨て未来への壮大な無駄な足掻きに始終すべきか悩むところです。収録曲のアルバムやシングルは未だ実家に捨てずに眠っています。さらにはスタイル・カウンシル(さすが、橋本徹選曲だけあってスタカン度数が高い!)は現在にも脈々と途切れることなく繋がるエヴァーグリーンですので、TIPOGRAFIAでも時々流れています。過去から繋がる記憶が現在を作り出しているのは間違いなく、否定できない音です。


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2007年01月23日

夜明け前に

週末営業ですっからかんになったコーヒーの冷蔵ショーケースを埋めるべく夜明け前から焙煎。ショーケース内は少しエンプティだけど、多くのお客様に来て頂いた週末の心は満タンです。さて暖冬といえども空調を入れない早朝の店内はさすがに寒かった。6時過ぎから合計9バッチ分を煎り上げ、現在ショーケース内は煎りたての豆の発する叫びで一杯です。みんなそろって

 「ブガール!煎り上がるぅ!カンガルゥ!」

とはしゃいでいます(意味不明)。
ラインナップはサラヴァ(ブレンド)、イルガチェフのモカ、ミヨシさんのコーヒー(ブラジル)、キリマンジャロの雪(タンザニア)、アフリカの叫び(ケニア)、カリブの島(ドミニカ)、ボゴタで朝食を(コロンビア)そして新登場エルモリトのグアテマラです。以前にサンプルで一度登場したグアテマラが正式にデビューいたします。やわらかい苦味とコクがやさしく拡がります。今日は60%を越える煎りたて度数で皆様をお迎えいたします。さあ、今週もGO!GO!商い!
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2007年01月22日

マリー・アントワネット

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映画は確かに監督の妄想の具現化という側面を持っています。脳内に沸き起こる衝動をイメージ化し、観客と共有する(悪く言えば押し付ける)という行為です。まさにこの映画はソフィア・コッポラの妄想そのもの!実在のマリー・アントワネットを巡るフランス革命前夜の歴史的背景には全く興味なし、ひたすらガーリーな日常のディティールをまったり描く箱庭の様な映画です。歴史的背景は伝令の台詞で片付けられ、ベルサイユの外の世界は全く関心なし。ソフィア・コッポラはキルスティン・ダンストに自己投影し陶酔している感性に観客は乗るか、反るかのいづれかを迫られます。あなたはどうします?
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2007年01月21日

ドリップ名人になりたいなら……

聞きなれたはずの商品名に突然感じちゃうことがありませんか?
当たり前のように使っていた珈琲サイフォン社「ドリップ名人」の名が啓示のように襲ってきました。実はすごいネーミングかも?ベタですが極めて分りやすく覚えやすい!「ドリップ名人」シリーズはプロ仕様の名門フィルターを(細口のドリップポットでない)ヤカンでも使用できるよう、リブ(溝)の高さや角度を調整し、お試しペーパーと計量カップをセットにした普及版です。もしこれが「名門フィルター汎用(改)ZMX2207 versionXS92」なんていう商品名だったら絶対買わないだしょうね。誰でも覚えやすく、分りやすく機能性を明示し、そして密かな期待を抱かせてしまうこのコピーセンスには平伏します。う〜ん!うちもドリップ名人になりたいわぁぁ(←京都弁のイントネーションでどうぞ)

さあ、あなたもPATTI SMITHのカバーで有名なThe Byrds「ロックンロール・スター(So You Want To Be A Rock'n' Roll Star)」のようにドリップ名人になりたいなら………

     コーノ式珈琲塾関西教室

へお越し下さい。
長い長い枕のため、あやうく本筋を見失うとこでした。2007年度もTIPOGRAFIAにてコーノ式珈琲塾初級コースを隔月で開催いたします。昨年も多くの皆様にご参加いただきました。今年も河野雅信氏(珈琲サイフォン株式会社 代表取締役社長)自ら浪速の地へ切り込み、皆様の珈琲魂を振えさせます。コーヒーの基本知識から、実践的な抽出(もちろん円錐フィルターを使用!)、焙煎まで幅広く学べます。カフェ好きやコーヒーファンから開業志望のプロ志向の方まで経験は一切不問です。やんわりコーノが自らコーノ式を教えます。そういう店主自身もコーヒーとも飲食とも全く無関係なサラリーマン生活を十数年続けた挙句、偶然受講したこの講座で河野氏のコーヒーにほれ込み開業までしちゃった人です。それ故、自分の店でそんな思いを抱く同窓に出逢えたらこれ以上の幸せはありません。詳しい講座内容やスケジュールは上記リンクを見て下さい。初回は3月です!待ってまっせ!
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2007年01月20日

語りすぎた朝と無言の夕方

新REMIX(ブレンドともいう)SWMPが出来るまでのレポート最終回です。
今朝は

 「ねえさん!おいら、ちょっと語りすぎちまったようだぜ!」
 「そうだよ、あんたらしくねぇ」
 「すまねぇこった。これにてちょっくら黙らしてもらうぜ!」

と言う感じです。多くを語らないコーヒー屋のはずがブレンドが出来るまでの思考実験と作業を逐一語りすぎました。少し反省……。そして完成品は店頭に並び、喫茶で提供開始いたしました。コレより先はお客様の世界です。活かすも殺すも、全てをお客様の心の声に委ねます。蛇足ですが、最終的な配合は

 @インドネシアマンデリントバコ(フルシティ)50%
 Aエチオピアモカイルガチェフ(フルシティ)30%
 Bインドロブスタ(フレンチ)20%

てな感じです。マンデリンのコクをモカのやわらかさで包み、隠し味インドでパンチをきかせたブレンドです。イメージでは土臭くパンチのある個性的なブレンドを目指しています。ガツンとしたインドの香ばしい香りが攻めます。そう、これぞ泥臭くアーシーな曲者豆たちのオリエンタルなマリアージュです。さて皆様、判断はお任せいたします。

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ついでに新ブレンドにあわせる本日のSWEETSたちです。

かわいいジューシーオレンジケーキ(320円)

アーモンドプードル入りの生地にオレンジ果汁とアマレットがたっぷり染み込んだしっとり味

かわいいスイートアップルポテトのパウンド(230円)

好評だったスイートアップルポテトのパウンド仕様
見た目よりずっしり。ほんのりシナモンもきいてます

かわいいゆずスクエア(190円)

無農薬の柚子を使いました
ざくざくショートブレッド風です。手掴みで食べていただいても

かわいい濃厚チョコレートケーキ(230円)

スチームオーブンでじっくりと焼き上げました
ブランデーも少々。大人の味です

全て限定品なので品切れ御免。
あ、また語りすぎちまった。もう夕方までおとなししゅう黙っとこ。
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2007年01月19日

SWAMP

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昨日の続き、考案中の新ブレンドSWMP続報です。
そもそも「泥臭ぇコーヒーが飲みてぇ!」と思い立ったのがスタート。それは余りにも突然炎のごとく湧き上がったプリミティヴな衝動です。土臭くアーシーでベタベタな味わい……、そうスワンピー!まさに最初にネーミングありきのブレンドです。そして基本的にはマンデリンの泥臭さを活かしたブレンドに隠し味にワンツイストが欲しかったのです。

画像は煎りあがったインドロブです。かな手暇を掛け焙煎してあります。ロブの生豆をハンドピックしているのは誠に諸行無常な気分です。ダンパーはほとんど全開で臭みを飛ばして、意図的にすっぽ抜けさせ、かなり深めに焙煎しました。店内に拡がる麦を焦がしたような香りを満喫した後はカップテスト。肝心の味わいは…………やはりロブでした。それ以外の何物でもありません。う〜ん!

ロブスタ種の焙煎は初めてではありません。珈琲サイフォンでの修行時、ブレンド用のベースを10`釜でフルにぶち込み半日、同じ豆を焙煎し続けたこともあります。大型釜での大量注文生産を小口にわけて焙煎し、毎回焙煎方法(火力の上げ方ダンパー開閉など)を変え、仕上がりを比較して経験を積み重ねていました。珈琲サイフォンはスペシャルティやプレミアムコーヒーからコマーシャルコーヒー(廉価な普及品)まで幅広く手がけており、いろいろなグレードの焙煎を体験できたのは大きな糧です。このような非効率で無謀な試みを許してくれた師匠である河野雅信氏の懐の広さに心から感謝いたします。高品質の生豆は持っているポテンシャルは高く欠点は少ないため、個性を活かして焙煎するのみ、でも欠点の多いスタンダード品はなだめてすかして盛り上げて気分よくさせて、味わいを引き出さねばなりません。当然難易度は圧倒的に後者が高くなります。たかがロブですが実に奥深いものです!

関西のブレンドにはロブスタ種がミックスされていることが多いとのことです。あるお店で7日間毎日日替わりのコーヒーメニューでブルーマウンテンに混じってロブスタがあったのには驚きました。さあ、素材は用意できました。あとはREMIXの加減次第!なんとか関西土着(浪速ネイティブ!)のブレンドを提供できるよう、しばらく試飲を重ねてブレンドと戯れてみます。
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2007年01月18日

ロブスタ

ついにロブスタを解禁しようかと考えています。

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でも別に禁猟期間が解禁された訳ではありません。
あ、間違えた!

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正しくはこちらがロブスタ種です。ベタなボケはさておき、正確にはカネフォーラ種(Coffea canephora)は基本的にはインスタント用や廉価なレギュラーコーヒー用の豆とされています。店頭にアラビカ種100%のコメントを提示されるなど、味わいに関してはゲテモノか邪道扱いです。さらにはコーヒー業界はアラビカ種でも、スペシャルティコーヒーが重宝され、各店素材自慢の泥仕合と化しており、ロブスタに関しては当然黙殺、無視、存在隠滅、語るに値しない影の存在です。そこで素材よりカップ重視のへそ曲がりの店主としては、あえてロブスタ種を配合したおいしいブレンドを世に送り出したいのです。別においしければロブでもアラビカでもええやんけ!そう思いませんか?偉そうに言っていますが、これはハードルは恐ろしく高く数年から十年単位のライフワークと化することは必至です。そういえばSOLちゃん(当店3`釜の愛称)も開業前、釜の慣らし運転で回したきり、ロブ初心者です。実はTIPOGRAFIAの生の巣窟(階段下倉庫)から偶然発見されたインドロブを手に取った時、突然閃いたのです。麦のような生臭い香り(ロブ臭ともいう)と鈍重な閃光はびびびびびびびびびびぶと脳髄を打ち抜き、「ボクをおいしく焙煎して!」との啓示を与えてくれました。それはあたかもP.K.ディックの『VALIS』のピンク色の光の啓示!おまえは電波系かちゅうねん!

冗談とも本気とも判断しかねる戯言はさておき、試作品ブレンドは近日お届けいたします。現在、深い深い、フレンチローストの様な独りブレインストーミング中です。ブレンド名は泥臭く“SWAMP”でいきます。スワンプとはアメリカ南部に点在する湿地帯、そしてそれに喚起された泥臭い音楽のこと。果たして結果は、永久欠番のタブーなブレンドになるか、スーパーノヴァになるか?ご期待下さい。
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2007年01月17日

ブラジルから遠く離れて

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5月29日と30日渋谷bunkamuraオーチャードホールでMARISA MONTEの2度目の来日が決まったそうです。相変わらず大阪飛ばし?東京のみでも行きたいな……どうしよかいな?

でも最近のブラジルとは少し倦怠期気味。
ラブラブの関係も、長く音楽を聴いていると時々新鮮味が失われ、違った趣向に流れることがあります。最近のブラジルモノは余りにもアタリが少なく、再びジャズへと回帰しています(以前は逆にジャズに行き詰まりブラジルへと流れました)。多分、振り子の振幅のようなもので、勿論、長い目でみれば好みは一貫して繋がっているのでしょう。またラブラブに戻ってくるまではクールダウン。……ということで最近は再発されたDAVID T. WALKERのソロやコテコテファンキードラマーROY PORTERを聴いたり、ブラジルから遠く離れて頭を冷やしてます。
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2007年01月16日

記憶

客商売に関わらず、人の顔や名前を記憶するのが苦手。
これはプロとしてかなり恥ずかしいことです。

接客業では一度宿泊したお客様のデーターを全て記憶する老舗旅館の女将、好みのカクテルを記憶するバーテンダーなどなど伝説は数々あれども、なかなか顔を覚えないコーヒー屋のマスターなんて全然洒落になりませんね。

昔からそうでした。あまりにも名前を覚えないので、その場に集まったグループ全員の名前を順番に当てることを罰ゲーム付きで強制された記憶があります(これっていじめ?)。
営業で外回りしていた時は、顧客ファイルに先方担当者の似顔絵を走り書き!それでないと次回訪問時、どの人が担当者か判明できませんでした。情けない……。

きっと記憶蓄積時、視覚情報の的確な記号化が弱いのでしょうね。

でも時折、その人の記憶が蘇ることがあります。それは顔自体を明確に記憶しているのではなく、周辺情報によって喚起されます。それはコーヒーの好みや座席であったり、服装や髪型、眼鏡などのファッションであったりします。そして香り、その人付けているコロンや体の匂いなどは不思議なくらい記憶を呼び覚まします。そういえばコーヒーの味わいの記憶もまた香りとリンクしていることが多い。モカイルガチェフの抽出時に拡がる花のような香り、ワタナベさんのコーヒーのカップに残った液体が放つ甘い香り、焙煎時の変化に伴う香ばしい煎りあがりの香り……。記憶に残された香りは鮮明です。来店時、店主がくんくんと鼻を鳴らしていても、決して変態ではありません(嘘)。

近日公開の映画『パフューム』は究極の香水の物語です。香りは記憶であり物語。人の記憶を巡る不思議な旅は続きます。
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2007年01月15日

あるいは裏切りという名の犬

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いきなりタイトルで惚れた男臭いフィルムノワール!
久々にフランス映画らしい意味深な意訳邦題が粋を感じさせます。ダニエル・オートゥイユとジェラール・ドパルデューがどこまでも熱く自分勝手な男を演じます。スクリーン一杯の紫煙越しに男のどうしようもない悲しさと馬鹿さ加減が漂います。ちなみに極めてスクリーン喫煙率の高い映画です。テレビや映画でタバコを吸うのは異常者かヨーロッパ人と揶揄したアメリカ映画の台詞がありましたが、さすがはフランス映画!プカプカとくわえ煙草(当然目を細めながら、唇の端!)爆発です。

2時間を切る尺でありながら、一切無駄がなく切り詰められたプロットはかなり濃厚。主人公の2人の間にあずはずの確執も現在の事件の説明も多くは語られない「省く」美学が徹底されています。やはりフランス映画は醍醐味はアムールとノワールです。見事です!

ちなみにジョージ・クルーニー&ロバート・デ・ニーロでハリウッドリメイクが決定しているそうです。期待したい反面、いやな予感がします。避けたい改変としては………
 
  @火薬増量
   意味なしアクションシーンの水増し
   火薬量すなわち興行(企業)努力と考えるアメリカ人的勘違い

  A説明強化
   物語の行動と説明を強化する一見合理的改変
   その実態は行間の情感を読むことを無視した過剰説明
   当然2時間の映画は回想シーンをたっぷり盛り込み2時間半となる
     
てな感じです。どうかアメリカ的過剰装飾砂糖ギラギラ菓子の様な映画にならぬよう祈ります。しかし『ディパーテッド』といいネタ切れハリウッドの断末魔の叫びか?果たしてアメリカにおいて映画というメディアの新たなる物語はもはや語りつくされたのか?
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2007年01月14日

FUNKIA

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MICHAEL LONGO『FUNKIA』です。前半のエレクトリックピアノ弾きまくり3曲も踊りますが、やはりM-4ミシェル・ルルグラン“WINDMILLS OF YOUR MIND”そしてマーヴィン・ゲイ“WHAT'S GOING ON”、ガトー・バルビエリ“LAST TANGO IN PARIS”を3連発で食らうと腰砕けてヘロヘロで立ち上げれない名盤です。ピアノトリオ+パーカションというリズム隊だけのドシンプルな編成が誠に心地よい!下世話さ加減とコテコテ度合いが大好きなピアニストです。
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2007年01月13日

ディパーテッド

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映画『ディパーテッド』を試写会でフライング鑑賞。

香港映画『インファナル・アフェア』に旦那よりも深い愛情を抱く連れ合いと違って、期待はしながらも、割りにフラットに鑑賞。そして結果はかなり微妙。比較的オリジナルに忠実なこのリメイクも悪くは無いのですが、やはり2時間を切る尺で綺麗に無駄なくまとめた香港の勝ちかな?個別認識不能な猿顔役者続出、ボストン動物園の猿山でロケしたのか?というキャスティングが評価の分かれるところでしょうね。ノリノリのジャック・ニコルソンは相変わらずうまいし、ディカプリオもそれなりに頑張っています。でも全く切れ者に見えないジミー大西(マット・デイモン)を何とかしろ!さらには『地獄の黙示録』の面影も無いマーチン・シーンと同じくアレック・ボールドウインの壊れ具合が……。潜入捜査官と潜入マフィアのサスペンスフルな駆け引きのはずが、その連絡をすべて、公共を飛び交い、傍受可能な普通の携帯を介するのはかなり間抜けな感じ。高校生や無いちゅうねん!

果たして、スコセッシとディカプリオはまたまたアカデミー賞から無視されるのか?微妙な感じです。

余談。同じ潜入捜査官モノの『スキャナー・ダークリー』に期待!果たしてぐちゃぐちゃどろどろのディックワールドがどのように展開されるのか?
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2007年01月12日

ダーウインの悪夢

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ドキュメンタリー映画『ダーウインの悪夢』です。

映画であれ、活字であれ、世の人はフィクション派とノンフィクション派に大きく2つに分けられます。それは興味の対象が絵空事である人と現実である人です。私は圧倒的に前者で荒唐無稽であればあるほどはまります。活字でもノンフィクションものは避け、小説に走ります。今回の映画はタンザニアのドキュメンタリーであり、まぎれもないノンフィクションのはずです。そこで疑問です。ドキュメンタリー映画は果たして現実(リアル)なのか?スクリーンに映し出されている映像は現実なのか?

映画(MOTION PICTURE)の持つ特性として、フィルムなりヴィデオなりに記録された映像はそれ自体が記号化します。正規の時間軸から切り取られた断片は決してリアルでなく単なる映像情報として存在します。例え生中継を編集なしでリアルでそのまま垂れ流した場合であっても、現実が映像情報として変換され、モニターされた時点で虚構性をおびてきます。それはモニター越しの戦争がリアルに感じされないのと同じです。

ドキュメンタリー映画とは現実(人物、空間、事件など)を見つめ、何かしらのメッセージを伝えるメディアと仮定するならば、究極的な方法論は2つしかありません。

 @編集(モンタージュ、ナレーション、音楽、音響効果など技術・技法)
 
 Aやらせ(架空の現実をフェイクで映像化する)


これらのテクニックを使用しないドキュメンタリーは存在しません。
記録された映像ソースを監督のプロパガンダのために切り刻み意図的につなぎ合せ、ナレーションや音楽を乗せて編集。これはレトリック以外の何物でもありません。また当事者へのインタビューなどカメラを向ける行為自体、恣意的な誘導尋問であり、穏便なやらせの無いドキュメンタリーは存在しません。

実際、マイケル・ムーアの『華氏911』などを観ているとブッシュとの泥試合よりも、技術としての編集技術を痛感します。まさにプロパガンダです。

さて、本題。
映画は半世紀ほど前ナイルパーチがタンザニアヴィクトリア湖に放たれたことに発する事実です。在来種を絶滅させ、爆発的に繁殖したナイルパーチはヨーロッパや日本に白身魚として輸出され周辺の産業と化します。でも結果、豊かさは訪れず、貧富の差が拡がり、貧困、売春、HIV、ドラッグ、ストリートチルドレンと絵に書いたような悪夢が展開されます。そもそも肝心の魚は食糧でなく、輸出用に加工され、地元民は屑をから揚げにして食べる始末。さらにはプラスティック容器を燃やし発生したガスを路上生活する子供たちが現実を忘れるため吸引します。これでもか、これでもかとつらい現実を突きつけ、何の解決も結論もなく唐突に終わる、まさに悪夢のような映画です。ここで疑問です。いったい誰(何)が悪いのか?ナイルパーチ?そもそも種としてダーウインの唱えた弱肉強食・適者生存に従ったまでで、敵役として攻めるのはお門違い。ではナイルパーチを放った人間(誰!)?それともお決まりの先進国と発展途上国の経済的格差?もう、どうでもええちゅうねん。回答はありません。

一応、コーヒー屋として忘れてはならないのは、タンザニアはコーヒーの産地でもあります。コーヒーというの農作物もまた世界的な搾取するものと搾取されるものの図式で成り立っている事実。豊かな日本で飲んでいるコーヒーを作り出しているのは間違いなく第三世界の人々の汗です。そのことは決して忘れてはなりません。
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