2006年07月05日

ベルベットのような

velvet_1967.jpg

昨日のコーヒーの香味表現に関連しますが、アンダーグラウンドな非公開組織「ベルベット舐めたことあるんか」派のお話です。あくまでも影の集団なのでコソコソと小声で話します。画像は関連があるような、無いようなVELVET UNDERGROUND & NICO(大好きでした!)

味覚表現の困難さと複雑性を憂います。
聴覚(音)と視覚(映像)などは比較的置換が可能です。例えば記憶にある風景なら絵を描いて説明するなど。でも味覚は非常に内包的で主観的なセンサーのため、他者に伝達するには基本的には「言葉」というメディアを介するしかありません。たかが一杯のコーヒーを誰かに伝えることすら儘なりません。言葉を多用、過信すると、それはレトリックとなり物事の本質から逸脱していきます。

スペシャルティコーヒーと呼ばれる風味特性の明確な高品質の商品を判断(カッピング)するために、様々な香味表現があるようです。表題のベルベットのような」とは液体を口に含んだ質感の良い特性表現の一例とされています。ここで素直な疑問が涌きます。

   ベルベットを舐めたことあるんか?

同様の表現で「バターのような」「クリームのような」「円い、転がるような(何が転がるの?)」「きつく編んだ布のような(全く意味不明)」などがあるそうです。オリジナル言語(英語)を強引に翻訳しているのでしょうが、不可解な表現ではあります。またコーヒーの味わいを近似的に別の食べ物などに置換する場合があります。例えば「チョコーレート」「キャラメル」「ナッツ」「赤ワイン」「フルーツ」「蜂蜜」「花」などが良い特性表現です。不快表現としては「ポテトフレーバー」「青臭い・青草の匂い」「青豆」「木のような」「古い麻袋の匂い」など。

   チュルチュル!ふむふむ。なるほど…
   フローラルなフレイヴァーがまるで上質な赤ワインのようですな。

果たしてこれらの言語感覚で、味覚が正確に伝わるのでしょうか?何よりチュルチュルと音をたてて吸うなちゅうねん!気色悪いちゅうねん!(でも正式なカッピングの作法です)

人は言葉でコミュニケーションを図るしかありません。でも口内に拡がったこの液体の素晴らしさを伝えるのには、言葉は余りにも無力過ぎます。「ベルベット舐めたことあるんか」派はこの立ちはだかる圧倒的な無力さを笑って茶化します。組織の活動はこれだけです。そして茶化しても笑っても人は生きていきます、前へと進んでいきます。ひたすら、何かを誰かに伝えるために!
posted by 焙煎師TIPO at 11:52| Comment(1) | TrackBack(0) | コーヒー