2006年05月12日

電話

TIPOGRAFIA店主のコーヒーの師匠は河野雅信氏(今まさに大阪へ向かっている途中)であり、そしてもうひとりその父であり、珈琲サイフォン株式会社の会長(前社長)である河野敏夫氏です。

河野敏夫氏は初代より引き継いだサイフォンを現在の形に完成させ、全国に普及、そして皆様もご存知の円錐フィルターの開発者でもあります。70を越えてもなコーヒー現役で毎日、焙煎機に向かっています。修行時代、最後の何ヶ月か河野敏夫氏に実務レベルでの焙煎技術とお店の続ける心得を叩き込まれました。

ヤクザ映画で例えると、店主はコーノ式珈琲道の浪速切込み隊として去年暮れからようやくシマを任された鉄砲玉。いっぱしに店主を気取っていても、子分はなく完全独立愚連隊。そしてお江戸の本部で店主をこの途へと引き込み、一から全てを叩き込んだ兄貴分が河野雅信氏であれば、組の隠居中のご老体が河野敏夫氏です。「兄貴!」「親分!」と2人を慕い、コーノ式に忠誠を誓い迷うことなくコーヒー任侠道を進んできました。

昨日、河野敏夫氏より思いがけず電話を頂きました。
「どうかね。うまくいってるかね」とのさりげない言葉。
大阪と東京で離れていても時々こうして声を掛けてくれます。うれしくって、ありがたっくて本当に涙がでそうになります。人は人によって支えられ、人のために生きていきます。

独りで店をやっていると時々不安になります。果たして自分の進んでいる途が正しいのか、それとも?といつも自問自答します。そして自分しか拠り所がなく途方に暮れる時があります。そんな時、さりげない人の声がどれほど支えになることか!人の温かみに触れると、さらに途を進む勇気を与えてくれます。

  いつもお客様が楽しんでいただけるコーヒーを出しなさい。
  コーヒーを煎り上げることは誰でもできる。
  でも本当の味わいをつくることは難しい。
  5年、10年かけるつもりでしっかり続けなさい。

それは河野敏夫氏のいつもの言葉でした。
時として言葉は情報や意味を越えたものを伝えます。言霊とでもいうのでしょうか?特に肉声はそうです。わずか何分かの電話での会話ですが、単語の意味以上の愛情が伝わってきます。受話器越しにひしひしとした愛が感じられ、涙が出そうになりした。この途を続けていく勇気と力を与えてくれました。そしてこれからもお客様の満足するコーヒーのために、迷うことなくこの途を進んでいきます。
posted by 焙煎師TIPO at 10:04| Comment(0) | TrackBack(0) | コーヒー