映画『重慶森林』より
トバコの間には、付かず離れずの微妙な距離感が存在します。
「トバコ」とはインドネシアスマトラ産のマンデリンコーヒーのこと。名前の由来は地名です。かなり個性的な独特の土臭い酸味に病み付きになります。でもアーシーで個性的過ぎるが故に時々わざとイケズをして、距離をおきたくなります。
少し前まではもっぱらお離れモード。 「あるある大辞典」で浅煎りのマンデリンが推奨されて以来、浅めで焙煎して提供しておりました。味わいは酸味がたちすぎるのでかなり微妙(好みが分かれるところ)でしたね。それで「こいつとはちょっと距離を置いておこう」てな感じです。仲たがい状態が続き、しばらくは店頭からも消えました。
でも最近はもっぱら接近モード。先日、豊中「KLEINGEBACK」のパンドゥミとあわせて楽しんでいたお客様がおられました。このC/Wに後光が差していました!きっと赤い糸で結ばれていて、このテーブルの上に一緒になるために世界を旅をしてきたような気がしました。それ以来急速にマンデリン接近モードです。「お奨めは?」と聞かれると、親馬鹿で「うちのこの娘が一番かわいい!」と思わず薦めてしまいそうです。そもそも1ヶ月位前、なぜか突然復縁。そして現在は、かなりラブラブ状態です。どちらかというと深煎りが多い豆ですが、自論では実は気持ち深めの「中深」が一番うまいのです。煎り上がりはが大きくプクプクに膨れ、カラカラとした軽い豆質感がなんとも愛しくなります。口内に入った液体はヒュルヒュルと静かにアーシーに広がり、“土”を醸し出します。眼を閉じるとインドネシアの土着な音が聴こえるような気がします。
でも付かず離れずの微妙な距離感です。また気が付くと喧嘩別れしているかも知れません。お互い深い執着なく気まぐれで引っ付いたり、離れたりの大人の関係です。現在は一番のお奨めです。ぜひチャレンジしてみて下さいね。
追伸;冒頭の引用には果たして意味があるのかないのかこれも微妙な関係ですね。