2006年04月21日

深読み

人は一生涯通して自分以外の誰の本心も知りえません。もちろんあなたが超能力者なら別ですが、コミュニケーションは常に一方的であり、隔絶された自意識のみが存在する、極めて孤独な世界です。だからこそ人は他人の言葉に耳を傾け、他人の行動に興味を抱くのです。だから間接的な情報からその人の心を想像するしかありません。そこで生まれるのが深読み

お店を始めて4ヶ月を超えましたが、まだまだお客様との距離感のとり方がつかめない時があります。お客様の来店動機はいろいろです。店主は決してそれを知りえません。以前にはカップに残されたコーヒーへの深読みについて書きました。来店されて最初に思わず深読みするのが、着席位置です。TIPOGRAFIA店内はカウンター5席、ホールには2人テーブルが2組と4人テーブルで合計13席となっています。混雑していない限り、お客様のお好きな席についていただいています。あなたならどの席に着きますか?さあ、ここで深読みが始まります!

お独りの来店の場合、心理学的な傾向として推測できるのは……

 @隅・端を好む(窓側など半分が壁面で守られている)
 Aパーソナルスペースを守る(人との間隔を空ける)
 B個人的世界を守りたい方はテーブル席を選択
 Cコミュニケーションを求める方はカウンター席を選択
 Dテーブル席では壁に背を向ける(壁で背後を守る)


一般的には@Aを無意識に選択しますね。これは敵から身を守る動物的な防衛本能であり、テリトリー意識です。これは深読みがなく安心です。

BとCの判断が微妙です。独りになりたい人でもカウンターを選択する場合もあればコミュニケーションを求めながらもテーブルに座る人もあります。TIPOGRAFIAはあまりベタベタな接客を得意としておりません。話術中心の芸人の様な接客は苦手です。とはいってはコミュニケーションを拒否するわけではありません。あくまでもコーヒーを提供とする影として存在しながらもお店の空気感を店主自らがかもし出さねばなりません。ここらへんのさじ加減が難しいのです。話をすべきか、ひたすら黙っているべきか?いつも自意識過剰に悩みます。一般的にはよいバーテンあるいはよい営業マンは7:3とか8:2とかでお客様に話をさせることがベストといわれています。確かにおしゃべり過ぎるバーテンの店は余り居心地がいいものではありません。また営業マンは苦しくなると一方的に喋りまくり、だいたいその時は結果(受注)は厳しいのが常です。語りと沈黙のさじ加減と相手の心のヒアリングが重要です。若輩過ぎる店主には奥が深すぎます。

余談ですが、同業者あるいはそれに準ずる視察目的の方は間違いなくカウンターのそれも店主の正面位置の陣取ります。これは何となく空気でわかりますね。

一番難解なのはDに反する事例です。そうです。わざわざテーブルでカウンター(店主)に対して意図的に背を向ける(壁に向かい合う)独り客です。基本的には動物的防衛本能で他人に背を向けることは避けるはずです。背後をさらしてまでもコミュニケーションを拒否する「私を独りにして!」というサインなのか?(←ありがちか?)それとも背を向けるほどくつろいで安心しているのか?(←ありえないか?)謎は謎を呼び、深読みがカラカラと音をたてて空回りします。でも真実は決して知ることがありません。

ということで本日のBGMはビーチボーイズの
  ♪“GOD ONLY KNOWS
でいきましょう。
posted by 焙煎師TIPO at 11:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記