2006年03月04日

引くことの難しさ

何かを構築しようとした時、加えることより、引くことのほうが圧倒的に難易度が高く、ある種の痛みを感じます。
           喫茶店
例えば音楽。ひとつのパッケージされた音楽を創り出す場合、いろいろな楽器や声を積み重ねていきます。果たして最良の形で成立させるにはいくつの音を重ねるべきか?ものすごくセンスのいる判断ですね。良い音楽と並の音楽と差はここにあります。なんでもかんでもぶち込んで塗りたっくた壁のようなサウンドにはあまり魅力がありません。それより引けるところまで要素を省き、最小限の楽器と肉声のみで成立させたスカスカでシンプルな音楽のほうが魂を揺さぶります。
例えば映画。長い!切れ!という作品が多く存在します。2時間の尺であればを心を鬼にして思い入れを捨て、1時間半にまとめると傑作になるであろうという作品はかなり存在します。
要するに音でも映像でも文章でも、思い入れが強く切れないんですよね。クリエイターとしてはあれもこれもと暴走しがちです。加えるのは物理的制限こそあるものの比較的簡単なんですよね。金なり時間なりが許す範囲であれば可能です。でも逆に引くこと、省くことはセンスを問われます。自分の世界が肉体が削られるような気がして痛いのです。最小の手間で最大の結果を得るための痛い努力が必要です。
           喫茶店
これはTIPOGRAFIAを開店するときに突き当たった壁です。自分の思い(重いともいえます)が強く、引くというスタンスがとれなかった。焙煎機は欲しいし、円錐フィルターもサイフォンもエスプレッソもやりたいし、DJブースが欲しい、マッキントッシュのアンプとJBLも欲しいし……と欲望は無限に拡大し続けます。でも開店資金には限りがあります。本来であれば什器ひとつでも投資金額を考慮して、1日何杯売って、何年で償却可能なんて考えていかないといけません。ははは、今こそいえますが完全に無視しました。てやんでぃ!という感じでほぼ欲望のままに加算ですすめました。初めての開店ということで引くことの痛みには耐えられませんでした。
           喫茶店
これは確信犯です。今後の事業展開を行う上で、青臭い思いを断ち切るためにあえて引きませんでした。子供と一緒ですね。あれも欲しいこれも欲しい!と欲望に素直です。青い部分を自分なりに満足させることで、幼年期と決別して今後をシビアに見つめていきたかったのです。ということで現在のTIPOGRAFIAには店主の好きな世界がめいっぱい詰まっています。そこにある全てのモノは店主自身の分身ともいえます。確かに満足しました。そして今後もし別の店を出すとすれば冷徹に合理主義で事業採算のみを考えていけます。たぶん……。
posted by 焙煎師TIPO at 12:43| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記

cafe-sweets

本日発売の柴田書店『cafe-sweets』にTIPOGRAFIAが紹介されております。素直に感謝!特集はコーヒーです。いろいろ勉強になりますのでしっかり読みましょう。誌面でもご紹介いただいた春の新作SWEETSの準備を進めております。たぶん来週からは順次“甘いもん”をネタにコーヒーをゆったりと楽しめますよ。お楽しみに!
posted by 焙煎師TIPO at 10:21| Comment(2) | TrackBack(0) | お店

Fotografia

2月26日の記事に中島桃子さんのライブ当日の写真を追加しておきました。やっとアップロードできました。
posted by 焙煎師TIPO at 10:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記