
映画とは、かれこれ30年近くのつれあいです。思えばいつも一緒でした。基本的には映画と活字、そして音があれば少々面倒な人生でも生きていけるのものです。贅沢を言えば、うまいもの(もちろんうまいコーヒー)と生活の彩り(少々の酒、服、靴、眼鏡、小物、食器などなど)があれば言うことのない幸せな人生です。極めてミニマムな人生ですが、そうしてなんやかんやと40年近く、常識的な世渡りと現実逃避のバランスをとって参りました。

最近ふと気が付きました。映画はつくづくわがままなつれあいですね。基本的に映画館(いわゆる小屋)で観ることが好きな性分です。テレビは画面のサイズや音響うんぬんよりも、雑念が多く集中できません。すぐにソファーに落ちている髪の毛を拾ったり、DVDのパッケージをいじり始めます。わかりますかこの感覚?結局、世界へ入り込めないのです。だから映画館!

しかしいざ映画館へ!となると大体1日仕事になります。本編2時間としてもチケット購入、待ち時間、休憩時間などなどおおむね3時間は越えます。映画館までの移動時間を考えると、その日は映画に専念するしかありません。映画は常に「私だけを見て!」と要求します。さらに上映時間によって自ずとスケジュールが規定されます。日本の映画館の場合、上映開始は11〜12時、最終回は夜7時前後といまだ顧客を無視した都合で縛られます。コンビをはじめとして、街は24時間活動しています。朝6時から仕事前に映画を観たい人も、夜11時から観たい人もあるはずです。映画は「私の都合に合わせて!」と要求します。
音楽は仕事しながらでも、歩きながらでも生活の一部として楽しめます。
移動中の電車での読書は格別ですよね。

本当に困ったものですね。でもやめられません。映画館のロビーでチラシやポスターを眺める瞬間。席に付き映画に心躍らせながらも、周囲の人たちの話声を聞き、この人たちはどんな人生を歩んできたのかと密かに観察する瞬間。そして客電が消え、薄暗闇へと踏み出して行く瞬間。これらはすべてこれからの映画のための儀式です。これによって現実から乖離し、世界へと入ります。こうして30年近くわがままなつれあいのために時間を割いてきました。本当に長い付き合いです。

最近映画が観ておりません。まあ観れないですよね。物心がついて以来、これまでの人生で丸々1ヶ月間以上も映画館に行かなかったことは今までありません。わおう!ある意味これはすごい人生の転機ですね。缶詰の気持ちです。観たいなあ!映画が「私を見て!」呼んでいます!あああ!

ということで多分、大晦日と元旦、2日はお休みいただきます。久しぶりに映画館へと繰り出してみます。さて何を観ようかな?久しぶりに「ぴあ」でも買ってみようかな。写真はTIPOGRAFIAの番猫(名前はまだない)。
posted by 焙煎師TIPO at 11:46|
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